20年間のNPO活動をまとめた本を出版した。「『協働』は対等で」(風媒社)である。英文タイトルを「A New Phase of Collaboration」とした。サブタイトルは、「証言で綴るパートナーシップ・サポートセンターの20年」。45人の証言をもとに綴った。

タイトルは、出版社が考えてくれた「対等な協働を求めて」という当初案を、よりコンパクトに、インパクトあるものにしたつもりである。確かにこの本はいわば最初から最後まで「協働」「パートナーシップ」がテーマであり、それをいかに求めてきたかを綴ったものでもある。切り開いてきたもの、進めることができたものもあれば、あるいは悔いを残したものもある。

とはいえ、あくまでこの「協働」の多くを割いているのは、「NPOと企業の協働」であり、その推進をミッションとしてきたパートナーシップ・サポートセンターの活動を基本としている。そこで、「協働の到達点と今後」を語るとなれば、協働の中心は「NPOと企業の協働」にならざるを得ないが、本を読んでいただければわかると思うが、実際には、行政との協働も数多く実践してきたし、「多様な主体による協働」を常に念頭に置いて活動してきた。

そこから見えてきたものは、やはり「協働の扉」は開いたが、「対等」というにはまだまだ課題が多い、というのが実感だ。行政との協働でいえば、NPOの持つ専門性や経験を安く切り売りさせられている実態が厳然としてあり、行政の下請けの位置から脱しきれず、どう考えても対等とはいいがたい。もちろんそれに抗って、様々な提案もしてきたし、部分的には改善もされてきた。しかし、例えば同じ指定管理ではあっても、企業が請ける事業とNPOが請ける事業でなぜこれほどの差があるのかと思うこともしばしば。NPOにはボランティアを前提としているとしか思えない。それでも、NPOにとっては専門性を活かせたり、得意分野であることから「引き受けたい」という善意の思いが優先され、人件費を内部でカバーしている現実がある。それでも、これまですべてをボランティアで賄ってきた団体からすれば「一歩前進」と受け止め、そこから抜け出せずにいるところも多いのではないか。

企業との協働でも、20年前に比べれば格段の進歩を遂げ、企業がNPOを視野に置くことはもはや大企業にとっては当たり前とも言える時代になった。当時、「いいNPO」はまだまだ少なく、進んだ企業は自社との協働相手をいち早く選定することが担当者の腕、などという声を聴いたものだ。が、NPOも5万を超えると、逆に企業との協働を求めているNPOが増え、このNPOがだめなら次のNPOへ、などという企業も出現。却って、NPO間の競争を煽りかねない時代でもある。現に、NPOからそれを仕掛けている現場に遭遇したこともある。

一見、対等になったように見えて、実はやはり「資金」を持つ企業におもねるNPOがあったり、逆に企業側がNPOとの関係を一方的に断ち切り、「次のNPO」を勝手に決めてしまうこともあるなど、「対等な関係」が確立しているとは到底思えないことも多い。

これらは、一方の側だけに責任があるわけではなく、双方の意識、理念・ミッション、経験など、まさに総合的な「協働」の問題ともいえる。

NPO法から20年、いよいよ協働なくして社会の発展は考えられない時代。次代を担う人たちが、本物と言える「対等な協働」の実践を積み重ねていけることを、心から願っている。