中間支援組織のスタッフとは、世の中のあまたある職業の中でどのような位置にあるのであろうか。

認知度ついて考えてみよう。「わたしは中間支援の仕事をしています」と自己紹介しても、おそらくごく一部の業界人を除いて、すぐにはわかってもらえないのではないだろうか。我々の立場について考えてみよう。働いている施設が、公設民営なのか、民設民営なのか。施設を運営する組織がNPOなのか、企業なのか、任意団体なのか。雇用形態が正規雇用なのか、非正規雇用なのかなどなど。同じ仕事をしている仲間であっても、千差万別であるのが、我々中間支援組織のスタッフの特徴であると思う。

歴史上には様々な中間支援組織が存在した。しかし、民間の公益的活動を支援することが主眼の中間支援組織というものが、この世の中に誕生してからは、そう長い時間が経っているわけではない。したがって、人材の供給源が多くの場合、外の世界であるということは必然であろう。実際に自分自身の周囲を見回してみても、実に様々な前職、キャリア、スキルを持った人材に溢れている。

もちろん、主流になるキャリアモデルがあるのはたしかであろう。具体的には、NPOスタッフからの参入である。しかしその場合でも、NPOスタッフにいたる経緯には、それまでのキャリアでの経験がきっかけになることが多いのではないだろうか。つまり、中間支援組織で働くものに共通して言えることは、みな外部からの「越境者」であるということである。

我々の業務内容のひとつに、活動団体の支援というものがある。具体的には相談業務や伴走支援などである。世の中には様々な社会課題があり、その解決に日々取り組んでいる団体が数多く存在する。彼らが多方面から持ち込まれる質問や疑問、悩みに対して、中間支援組織のスタッフは日々どのように対応しているのか。

もちろんスタッフは日々自己研鑽を行っていて、あらゆる相談に対応すべく準備をしていると思う。また、それぞれの施設にはノウハウが蓄積されているとも思う。しかし、最も頼りになり、相談対応のよりどころとなるのは、我々中間支援組織スタッフのひとりひとりが持つ経験や、背景の多様さなのではないか。

実際に相談対応をしているなかで、このような経験はないだろうか?「この課題に似たようなことを、前職で経験したなぁ・・・。」「この問題については、あの人が解決策をもっているのではないか?」まさにこの感覚こそが我々の強みであり、越境者の活躍のしどころなのである。
たとえ相談を受けた人間がすぐにはアドバイスを提示できなくとも、我々の仲間の中には、必ずどこかに持ち込まれた課題に対する、様々な対応策を知っている、その道に長けたスタッフが必ずどこかにいるものである。

こと相談業務に関する限り、仕事の成功とは、相談者が次のステップを見つけることができたときに見せる、安堵した表情、喜ぶ顔、改めてやる気になったときの意気込みなどが得られたかどうかではないだろうか。「あそこにいけば相談にのってもらえる、そして適切なアドバイスがもらえる」と思ってもらえる組織になること。結果として、相談者が増え、その地域の市民活動が活発になる。その源には、中間支援組織の個々のスタッフの知識や経験、スキルが十分に発揮、活用できているかどうかが鍵なのである。

一方でこの特性はあくまでも相談業務の質が属人的であるという弱みも抱えている。属人的とは、仕事の成果や影響が、あくまでの特定の個人の資質や能力に左右され、制限を受けるということである。言い方を変えると、ある課題について、特定の人がいないとわからない、解決しない、相談にのってあげられないという問題である。

中間支援組織の歴史は浅いと冒頭に触れた。それでも最近はキャリアのファーストステップが中間支援組織というスタッフもみかけるようになった。彼らの多くは学生時代から、公益的な活動に触れ、具体的なノウハウを身につけている。ある意味では高い専門性を持った人材である。一方で、越境者である従来の中間支援組織スタッフには、それぞれの背景が持つ多様性がある。

専門性と多様性、この相反する2つの性質は、一個人のなかで両有することは難しい。あくまで組織として、あるいはネットワークとしてこの性質を維持し続けることが、我々の生きる道、顧客である市民活動団体にとっての価値を提供し続けることになるのではないか。