2025年7月、ニューヨークにて「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が開催されます。 この国際フォーラムには各国の閣僚級代表をはじめ、政府関係者、国際機関、研究者、市民活動団体など、数多くのステークホルダーが集い、SDGs(持続可能な開発目標)の進捗状況について議論が交わされます。
フォーラムの中では、各国が「国別レビュー(VNR)」として、SDGsに対する自国の取り組みや課題を報告します。今年は日本も、4年ぶりにVNRを発表する予定です。それに先立ち、6月10日には日本政府より「SDGsに関する自発的国家レビュー(VNR)報告書(PDF) 」が公開されました。報告書は200ページを超える大作となっています。
この報告書の作成にあたっては、ステークホルダーとの意見交換やパブリックコメントの募集が行われました。報告書内には、それぞれのステークホルダーによる評価や取り組みの概要も盛り込まれています。なかには、日本政府にとって厳しい意見も含まれており、開かれたプロセスの重要性がうかがえます。こうした取り組みは、市民社会にとって非常に意義深いものです。
市民からのレビューと提言
SDGs市民社会ネットワーク(略称:SDGsジャパン)は、市民の視点から日本国内のSDGs達成状況を評価し、「誰一人取り残さない」という理念の実現に向けた提言を行いました。この提言は「SDGsジャパン SDGsスポットライトレポート2025」としてまとめられています。
また、パブリックコメントの募集に際しては、市民の意見提出を後押しするためのガイドも発表。政府の文書を市民がチェックし、その作成プロセスに対話的に関わることは、価値のある取り組みといえるでしょう。
7月のフォーラムでは、日本政府によるレビューが国際的にどう受け止められるのかが注目されます。レビューされた内容をさらに市民がレビューする――この循環的なプロセスこそが、SDGsの理念を体現する鍵となります。