プライマリ・ヘルス・ケア40年
— 日本は本当にUHC先進国と言えるのだろうか?

日本では医療関係者にすらあまり認識されていませんが、今年はプライマリ・ヘルス・ケア(PHC)に関するアルマ・アタ宣言(※)が発布されて40周年となります。 その原則は、1)基本的人権としての保健・医療、2)人々や地域の参 …

CIVICUS AGNA:市民社会の国際的資金、説明責任、参加について

2018年5月31日~6月1日にCIVICUS AGNA(※)の年次総会に出席するためジョージア(旧称:グルジア)の首都トビリシに行ってきました。CIVICUSは全世界で175の国や地域に4000人ほどの会員を擁する国際 …

地域を支える人の育成には「NPOインターンシップ」が有効

近年、大学生の地域への関わり方は多岐にわたっている。学生が自主的に参加するNPO等におけるボランティア活動のほか、プロジェクト型授業(PBL)やサービスラーニング、ゼミ活動等、授業を通じた機会も広く提供されている。 その …

被災地支援に個人物資はイラナイ
―「第二の災害」を生まないために

2018年は自然災害が多い年といってもいいでしょう。さらに今年の災害は今までにないほど被災範囲が広く、被害も大きいのが特徴といえるかもしれません。 災害が起きるとメディアは一斉に被害状況を伝えますが、そのなかで「物資が足 …

東京オリンピックと大学ボランティアセンター
~動員への危機感と個人の思いの尊重の狭間で~

2020年のオリンピックボランティア、そして、大会ボランティアとしては、連続性をもって捉えられている、2019年ラグビーワールドカップの大会ボランティアとどう向き合うか。いま、関東を中心とした大学では動きが活発化しつつあ …

「誰一人取り残さない」社会をどう実現するか――NPO・NGOの視点から

SDGsは目標とターゲットが取り上げられることが多いが、それは、SDGsの一部にすぎない。ここでは、なぜ、SDGsの基本理念が「誰一人取り残さない」なのか、そして、日本のNPO・NGOはSDGsの達成に関してどのような活 …

目立つ国策的な動員型「ボランティア」促進の危うさ

先日の西日本豪雨災害では、同時多発的に深刻な被害が生じた被災地の復興支援にマンパワーが大量に必要とされるということから、文部科学省が全国の大学に対して、学生たちが被災地でのボランティア活動に参加しやすくするために、補講や …

「非営利ワールド」の分断化を、地域という「面での一体化」によって克服せよ ――「民都・大阪フィランソロピー会議」の持つ意味

【「民都・大阪フィランソロピー会議」の背景】 非営利の世界は第二次世界大戦前までは一つの制度でした。戦後特有の事情から、学校法人、社会福祉法人など省庁別の法人制度ができあがりました。これは他国にはない不思議な現象です。法 …

「他者とどう向き合うか?」と「性」について

インドネシアで開催中のアジア大会バスケ日本代表の4選手が、買春したとして代表認定が取り消されました。選手たちが帰国した空港や謝罪会見には大勢の報道陣がつめかけ、ニュースで大きく取り上げられました。 アジア大会「買春、浮つ …

「誰一人取り残さない」と「サステナビリティ」を実現する

6月の総会を終えて夏になると、日本NPOセンター事務局は会員企業への訪問シーズンになります。昨年度の報告と新しい事業計画、また各社の社会貢献・CSRのトレンドについて意見交換を行います。 肌感覚で大きく変化していると思っ …

NPO法人の障害者福祉サービス事業に対する課税の問題について

■法人税課税の考え方がNPO法人ごとにバラバラな訳 B型作業所などの障害者の就労支援事業は、営利企業や社会福祉法人と共に、NPO法人も数多く実施しています。こうした障害者福祉サービス事業に対する法人税については、「営利企 …

休眠預金の問題を通して、もう一度「市民社会」を考えたい

NPOセクターに今後大きな影響を与えるであろう「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」が、2018年1月1日に全面施行されました。日本の市民活動へ助成している上位20団体の助成総額が約500 …

あらためて「市民社会」の定義を考える〜英国の市民社会ストラテジーより

8月9日、英国政府が「市民社会ストラテジー」を発表した(1)。「すべての人の未来をつくる」と副題がつけられた120ページの文書は、政府全体としていかに市民社会を育てていくかを示す戦略文書になっている。5章からなり、それぞ …

NPOよ、自らの良さを大いに語ろうではないか!

「仮面NPO野放し、チェック確保が課題」「NPO販売目的で設立 活動実績なし」など、このところマスコミでは、NPOについてのネガティブな報道が目につくようになりました。 市民活動を推進する制度として1998年に特定非営利 …

SDGs時代のNGOの役割 ~国内と海外の壁を越えて~

NGOのスタッフとして活動を始めて20年近くになるが、時折違和感あるいは居心地の悪さを感じることがある。まだスタッフになって間もないころ、研修のために来日していた、ネパールで児童労働問題に取り組むNGOの代表を成田空港ま …

「一般就労に近い形態」の喫茶店オープンが果たす役割を考える

コーヒータイムは一般就労が難しい障害者(主に精神障害者)の方々の就労と居場所を提供している福祉事業所です。その人たちと一緒に喫茶店を運営しています。喫茶店の利点は一般住民とのコミュケーションが取りやすいこと、開かれた事業 …

「自然語」で描く未来

「自然語」。ホールアース自然学校が大切にしている言葉です。今、このように私が書き記しているのは、言うなれば「人間語」。そして、何らかの「テクノロジー言語」が駆使され、この「人間語」はWEBサイトに掲載されていることになり …

秋田問題と市民活動 

NPO法の制定から20年になりました。秋田県では制定の翌年、平成11年に入り、まちづくり、地域安全、障害者支援などを設立の目的とした9団体が認証を受けています。その後も認証数は順調に増え続け、22年に認証のピークとなり4 …

「さいたま市市民活動サポートセンター」 直営化のその後 ―市議会との「協働」を求めて

私たち、さいたまNPOセンターが、「さいたま市市民活動サポートセンター」(以降、「サポセン」と表記)から2016年3月に撤退して、2年が過ぎた。 次期、指定管理者候補に選ばれながらさいたま市議会による「サポセン条例の改正 …

「逃げれば助かった」 3.11後の市民力

東日本大震災による死者・行方不明者は18,433名(2018年6月警察庁発表、関連死除く)にのぼり、私たちの国ではその後も毎年、自然災害によりかけがえのない命を失っています。 平成30年7月豪雨災害で甚大な被害にあわれた …

「地べた」の市民社会考 〜地域の諸機関とのかかわりを通じて〜

筆者は20年来、NPO支援組織として、市民活動支援および多様な主体間の協働のコーディネーションに従事している。主にNPOや自治体、企業とのかかわりでの事業機会が大半ではあるが、ここ10年来は、公民館・児童館・社会福祉協議 …

一人の人間としての子ども

選挙権年齢が18歳に引き下がり、18歳成人も2022年から始まります。7割以上の国が18歳成人の中で、なぜ、日本はこれほどまでに「20歳成人」「20歳選挙権」に固執してきたのでしょうか。 とはいえ、<18歳選挙権・18歳 …

アートNPOの経営をギャンブルにしないために

「この国でアートNPOをやるのは、もはやギャンブルですよ」と、このごろ自嘲気味に語っているのは、コンテンポラリー・ダンスの分野でNPOを主宰するSさんだ。聞けば経営はかなり厳しい状況だという。 Sさんは20年ほど前、日本 …

NPO、社会変革を忘れていないか

この二、三年、市民参画型のNPOより、事業型NPOが増えています。 NPOは課題を抱える人や地域に対して解決に向けてのサービスや制度事業を実施するのは当然ですが、一方で、課題である現状を変えていくためには市民の意識や制度 …