日本NPOセンターでは、2007年度に引き続き、第2回目の「NPO支援センター実態調査」を、今年3月に実施。このほど、その概要の集計がまとまった。膨大な調査報告の詳細を紹介する紙数はないが、NPO支援センターの現状と課題が浮き彫りになる調査となった。
そもそも特定非営利活動の「運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」に取り組むとしているNPO法人は約2万2千団体もある。そこで調査では「①NPOの組織支援を主にしている、②常設の拠点がある、③NPOの組織相談に対応できるスタッフが常駐している、④分野を限定せずに支援をしている」という4点を満たす団体を「NPO支援センター」と定義した。そこで日本NPOセンターで把握していた334団体に加えて、インターネット上の情報で上記条件に当てはまる可能性のある団体にも郵送調査を実施し、250団体から回答を得た。
回答者の内訳をセンターの設立者と運営者で分析すると、「行政が設置し、行政が運営」(官設官営)27%、「行政が設置し、行政と民間で運営」(官設官民営)7%、「行政が設置し、民間が運営」(官設民営)41%、「民間が設置し、民間が運営」(民設民営)26%だった。民設民営が4分の1を占めているが、その運営経費の76%は行政系財源でまかなわれている。民設民営ではあるものの、民間団体の主体性を発揮しやすい民間資金が財源の基盤となっていない状況にある。
センターの運営体制でも厳しい現実が明らかになった。正規スタッフの平均年収は、「官設官営」406万円、「官設官民営」310万円、「官設民営」190万円、「民設民営」205万円。民間運営のセンターで賃金の低さが際立っている。その上、この項目は5年前、「常勤スタッフ」の年収として聞いたのだが、いずれの類型でも、非正規の常勤職員も含まれる5年前の調査から約2割も下がっていた。
この事態の背景には、多くの支援センターで財源の中心となっている行政系財源の縮小がある。自治体財政悪化の影響を受け、政策的経費である支援センターへの支出が抑制されているのだ。実際、センターの「3年後までの展望」を聞いたところ、展望が「描けていない」という回答が最も多かったのは、他ならぬ「官設官営」センターの52%。自由記述で「官設民営」への移行を模索するセンターも多かったが、これも経費圧縮が大きな要因となっている。
センター全体の55%が取り組んだ「新しい公共支援事業」が終了し、自治体財政の好転も期待しがたい。この厳しい状況の中で、「支援センターのあるべき姿が見えてこない」(官設官営)、「そもそもNPOセンターをしていく意義があるのか?を検討しないといけない」(官設民営)、さらには「対価を得にくい事業を実施しなければならないが、それを補うだけの人脈もなければ、新たな事業にチャレンジするほどの体力もない。いっそのこと、委託事業以外は休眠状態にすることも視野に検討中」(民設民営)という意見さえあった。
「市民の力で社会の課題を解決する」社会づくりを進める。NPO支援センターの究極の目標は、こう表現できるだろう。個々のNPOは、それぞれがテーマとする課題解決に取り組むが、NPO支援センターは社会づくりという広いテーマに取り組む。このテーマは自治体にとっての課題でもあるから、民設の場合も自治体からの事業委託などを受けることが多くなる。
この場合、まず委託先にふさわしい専門性が問われる。会計や労務などに加えて、最近はファンドレイジングやボランティアコーディネーションなどに関して体系的な研修を伴った専門性認定の仕組みが作られつつある。支援センターのスタッフは、この種の専門性も磨く必要がある。
また、NPOに参加したい市民やNPOを応援したい企業、市民・NPOの協力を得たい福祉施設や社会教育施設、病院など、支援センターの「顧客」に合わせた「商品」開発を進め、行政依存を脱することも必要だ。事実、講師派遣事業やコンサルテーションで自主財源を得、自立的に事業を進める支援センターもある。
今、まさに支援センターの真価が問われている。今回の調査結果をふまえ、日本NPOセンターでも支援センターの経営力や事業開発力強化に向けた取り組みを進めたい。