20年来関わりのあるNPOが、今年で設立25周年を迎え、記念文集が届きました。

「すべての若者たちのきっかけづくりを応援する」というキャッチコピーのもと、国内外で合宿型のボランティア活動——ワークキャンプ——を開催してきた団体です。

以前、団体のスタッフとこんなやりとりがありました。不登校や引きこもりの若者支援を対象にした支援プログラムがあることを伝えると、スタッフから「私たちの団体には、不登校や引きこもり状態にある若者も確かにいます。でも、対象は“すべての若者”なんです。活動に対して、外部から特定の色がつくことは避けたいんです」と返答がありました。結局、応募しなかったようです。

文集には「誰もが持っている不安」や「進路選択での迷い」、「チャレンジして失敗したこと」「仲間と一緒に過ごした楽しい時間」など、若者たちが共通して抱える感情が、たくさん詰まっていました。また、有識者からのコメントには、団体が大切にしてきた「若者の人生に対するリスペクトを基本にした関わり」への評価が記されていました。

NPOは「社会課題の解決」に取り組む存在として紹介されがちです。しかし、この団体のように、若者たちに寄り添い、リスペクトのまなざしを向ける。そして、あくまで「きっかけづくり」に徹して活動を続ける姿勢にこそ、NPOの取り組みが持つ価値や豊かさを、改めて感じました。