災害対策基本法の改正案が閣議決定された。
NPOにとっての注目は大きく2点ではないか。すなわち、福祉的支援の視点が入り、福祉サービスの提供が災害救助法における救助の種類に追加されること。そして「被災者援護協力団体」の登録制度が新設されることである。
前者は日本NPOセンターも参画する「3.11から未来の災害復興制度を提案する会」が訴えてきたもので、災害ケースマネジメントの考え方を取り入れ、1人1人の被災者の状況に合わせた支援が実現されることが期待される。
後者は一部報道などで登録制度として話題になっていたものだが、踏み込んだ内容が記載されている。法律案では避難所運営など7項目の活動を行う団体が登録対象で、内閣総理大臣が管理し、個人情報を含む情報共有ができ、実費弁済が行われる一方で、秘密保持義務と報告義務、都道府県からの協力要請があった場合に協力する義務が生じるなどの責任も伴う。この制度が災害時の官民連携にどう影響を及ぼすのか。これまでできなかった緊急時の円滑な官民連携が実現するという期待がある一方で、行政による管理強化への警戒や、登録被災者援護協力団体以外の団体による自発的な活動への影響などへの不安が聞かれる。
詳細はまだわからない部分が多く、現時点での評価は難しい。法はあくまでも枠組みを規定するもので、具体的な運用を含む制度設計はこれから検討が行われる。ぜひ国が主導するのではなく、検討段階から対話をもとにした官民連携で進めていただきたい。
そのためにはNPO側も、被災者のために必要な支援をいかに充実させるのか、という視点で制度設計を確認し、現場の視点からの懸念や提案を洗い出し、提言していくことが求められる。
※この法律改正案に対するご意見や懸念、期待などありましたらぜひお寄せください。
※日本NPOセンターが会員向けに発行している機関誌『NPOのひろば』の101号(2025年3月発行予定)でもこの法律改正についての特集を予定しています。未入会の方はぜひご入会をご検討ください。https://www.jnpoc.ne.jp/activity/npo-supporter/to-learn/how-to-join/
参考1
災害対策基本法等の一部を改正する法律案の閣議決定について(2025年2月14日)
https://www.bousai.go.jp/taisaku/minaoshi/kihonhou_06.html
参考2
3.11から未来の災害復興制度を提案する会
https://311kaerukai.net/