「仮面NPO野放し、チェック確保が課題」「NPO販売目的で設立 活動実績なし」など、このところマスコミでは、NPOについてのネガティブな報道が目につくようになりました。

市民活動を推進する制度として1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が制定されてから20年が経過しました。よくNPO関係者は、「NPO法人は、今や5万法人を超えており、日本社会になくてはならない存在です」というフレーズを使いますが、本当にそうなのでしょうか。

■NPOの悪い印象は約1割、ニュースの影響が大

内閣府の統計によると、NPO法人が5万法人を超えたのは2014年度ですが、2018年6月末では51,774法人であり、ここ数年は法人数の伸びは頭打ちとなっています。これは、解散する法人が多いことや、一般法人制度が施行されたためということもありますが、もしかするとNPOに対する魅力が薄れてきたのかも知れません。

NPO法人ETICの「NPOについての若者認知度・イメージ調査2014年版」によると、全体の8割以上の若者が「NPOを知っている」と回答していますが、NPOのイメージ(良い・悪い)に関しては、全体の6割が「どちらともいえない」としています。そして約3割がNPOに「良い印象」を、約1割が「悪い印象」を持っているようです。また、悪い印象を持っている方の中には、「不正に儲けている」「横領」「反社会勢力」といったコメントもみられ、悪い印象も持つに至った経路としては、ニュースの影響が大きいとしています。

■ネガティブな記事の100倍くらいの良いニュースが流れるようにしたい

そもそもNPO法人制度は、情報を公開することにより成り立っています。所轄庁が行う情報の公開としては、公告又はインターネットによる公表、縦覧及び閲覧又は謄写が定められており、NPO法人は社員又は利害関係人から請求があったときは、法で定める書類を公開しなければなりません。これは、特定非営利活動を推進するために、広く市民の監視の下におくことによって、市民による緩やかな監督、それに基づくNPO法人の自浄作用による是正といったことに期待をして設けられたものです。

肌感覚的には、NPOに関する報道については、ネガティブな記事の10倍は良いニュースが流れているように思います。NPO淘汰の時代ともいわれますが、少子・高齢化が進み、地方が疲弊する現状にあっては、NPOが活躍する(活躍しなければならない)領域は、ますます増えることは疑いのない事実です。折角、NPOという社会的な道具を発見し手にすることができたのですから、それに磨きをかけてネガティブな記事の100倍くらいの良いニュースが流れるようにしたいものです。

■NPOよ、自らの良さを大いに語ろうではないか!

「陰徳あれば陽報あり(人知れず良いことをすれば必ず良いことが返ってくる)」とは言いますが、良いことをしてもそれを語らないと世間の人にはなかなか伝わらないものです。NPOも、良いことをしたらその1割ぐらいの労力をそのことを語ることに費やす必要があると考えます。それは、良いニュースを流すことも、NPOにとっての情報公開の一環だと思うからです。SNS全盛の時代にあっては、工夫をすればそれほど大きな労力をかけずともNPOの価値を世の中に伝えることができるはずです。それにより、NPOはさらに強くなり、多様なNPOが社会からの信頼を得ながら力を発揮していく、そうした時代を創ることもNPOに課された責任ではないでしょうか。