「私が今晩伝えておきたい2つの単語があります。”Inclusion rider”(インクルージョン・ライダー)」。これは、3月のアカデミー賞授賞式で、主演女優賞に輝いたフランシス・マクドーマンドさんのスピーチの締めの言葉です。

「インクルージョン・ライダーってなに?」ネイティブスピーカーでも意味が理解できず、授賞式後ネット上で話題となりました。「インクルージョン」は包含・包括。誰もが参加しやすい環境づくりを目指す取り組みを指す言葉として使われています。もうひとつの「ライダー」は「乗り手」の意味ではなく、フランシス・マクドーマンドさんは「附加条項」という意味で使いました。

彼女の主張は、俳優が出演契約をするときの「附加条項」に「インクルージョン」の観点が必要だということ。撮影する作品の地域や背景に着眼し、多様な人種や性別、障害などに配慮した配役や制作スタッフを求める条項を加えることです。すでに米国では「インクルージョン・ライダー」に賛同を表明する俳優やプロデューサーも出ているようです。インクルーシブな社会への理解が、こういった主張・動きからも後押しされることを期待します。