先月、中国の名門・北京大学で過去のセクハラについて情報公開を大学側に求めた女子学生が軟禁される事件がありました。彼女に連帯を示すために構内に張り出された壁新聞はSNSで拡散され、日本でも報道されました。

五四運動、天安門事件でも学生たちが大きな役割を果たした北京大学は、反骨の伝統で知られます。現代の学生が紙に毛筆の「壁新聞」で意見を表明するのは、前世代が積上げてきた遺産の継承という意味もあるのでしょう。

言論空間に制限がある中国では、逆説的ですが市民性とは何かということに、人々はいつも向き合わざるを得ません。大きな力の意に沿わない意見表明は、生半可なポーズではなく、文字通り身を賭してたたかう覚悟を帯びたものになります。

中国では今、当局との間合いを計りながらも、環境、マイノリティ支援、ジェンダー格差の是正など、ユニークで気骨のある活動がたくさん繰り広げられています。聞こえにくい隣国の友人たちの足音に耳を澄ますこと、そしてこちらの足音を伝える努力をすることは、私たちが「市民性って何だろう?」と考えながら進んでいくとき、とても大切なことであるように思います。

北京大のセクハラ、情報公開求めた女子学生が軟禁状態に (朝日新聞)

(日本NPOセンターメールマガジンより転載)

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