特定非営利活動促進法には20の「特定非営利活動」が設定されていて、一般的には活動分野として捉えられている。具体的には「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「社会教育の推進を図る活動」などで、NPO法人は定款において、自らの活動がどれに該当するのかを定めることになっている。その1つに「災害救援活動」という「分野」がある。

「救援」について、デジタル大辞泉では、「困難な状況や危険に陥っている人を助けること」とある。これを人命救助と捉えると、災害救援活動は特定の専門分野と考えることができる。しかし、災害をきっかけに、困難な状況に陥ったり、放っておけば危険に陥りそうな人を助け、支えることと捉えるとどうだろう。あらゆる分野にかかわってくるのではないだろうか。

昨今では、社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置して、ボランティアとともに被災者の生活再建を支援する動きが定着してきた。地域福祉の担い手であって、必ずしも災害救援活動の専門組織ではない社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置するのは、災害によって影響を受けると、少なからず福祉課題につながることが経験からわかってきたからである。幅広く生活再建を支えながら、福祉課題をいち早くキャッチし、必要な人はサービスにつなげることを狙った役割分担である。

災害にまつわる〇〇問題[日本NPOセンター 2018]
「災害にまつわる〇〇問題」[2018]
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また、右の図は2018年の「災害時の連携を考える全国フォーラム」(主催:全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)の分科会を担当した際に作成したものだ。縦軸にSDGsの目標を置き、横軸に発災からの時系列を置いた上で、それぞれのマスでどのような問題が起こりうるのかを複数の関係者のヒアリングから落とし込んだ。もちろんすべての現象を網羅できているわけではないが、これを見てもあらゆる活動に「災害時」があることがわかる。

このように災害支援は特定の分野ではなく、あらゆる分野における状態の違いだと捉えるべきではないか。これから水害が発生しやすい季節に入る。ぜひみなさんの活動において、災害時にどのような困難が発生しうるのか、それを回避するためにどのような取り組みが考えられるのか。それぞれの活動の専門性を生かした知見を寄せていただきたい。