20代の頃、野外活動の指導員をしていたことがあり、夏のキャンプは楽しかった。飯盒炊飯をして、テントで寝たり蛍をみたり。キャンプを終え子どもを親に引き渡しホッとする。
今、関わっているキャンプは、非日常が日常として常態化し日常に戻る保証がない難民キャンプだ。
先日、タイ-ミャンマー国境にあるミャンマー難民キャンプを訪問した。
1980年代、軍事政権に追われ難民が流出してから30年以上経つ。4年前にミャンマーは民主化したものの、いまだに祖国に戻れない10万人以上の人々が難民キャンプで暮らしている。キャンプ生まれ・育ちの若者も多数存在する。
最低限の衣食住は保証されているが、この2~3年は、海外からの支援するNGOがどんどん撤退している。最近は海外に定住することができる第三国定住の道も閉ざされて、ミャンマーへの帰国を待つばかりであるが、安全に戻れる保証はない。
ある難民の人が「今は、嵐の前に静けさ。先がどうなるかわからないし、話したくも考えたくもない」という言葉が突き刺さる。自分の人生が自分で決められない、なんとも言えない雰囲気がある。
世界の難民数は、2017年末現在で、6,560万人。ミャンマーからの難民と言えば、バングラディシュに避難を余儀なくされているロヒンギャ難民のみと思われがちである。しかし、30年以上難民生活を余儀なくされた、タイ―ミャンマー国境沿いにいる「忘れ去られた難民」がいることを、忘れてはならない。
報道されない今だからこそ、私たちNGOの真価が問われている。