2013年、新しい年度が始まった。

NPOの組織基盤強化を目的に、2010年秋から政府予算によりスタートした「新しい公共支援事業」も2012年度で終了し、その意味と効果が問われている。

この施策を進めてきた民主党では、支援事業の評価とともに、今後のNPO支援についての検討もされており、現政権の自民党においても政策調査会NPO等特別委員会も組織され、その勧めにより「NPO政策連絡会議」を新たに立ち上げる準備も進められている。今後さまざまな政策の場面でNPO施策についての議論が進められるであろう。このような一連の動きは今後注目すべき点ではあるが、一方で政府や行政の施策頼みでなく、NPO自らの努力により、組織力をつけ、社会に影響力のある活動を進めるためにはどうすべきかを今一度考える時期が来ているように感じている。

「ほっとけない」「何とかしなければ」という「思いと行動力」がNPO創設の原動力であり、その「思いと行動力」に共感した人や組織に支持され、ミッション達成のための活動が展開され、組織の維持も具体化する。つまり、思い→行動(活動)→共感→支持→活動の発展→さらなる思い、の循環こそがNPOの組織力強化の原点ではないだろうか。

NPO法の施行から15年。社会的な存在として認められることにより、安定かつ継続した活動展開のための財源や人材の確保が重要視され、その達成のためのマネージメント力が問われて久しい。そんな中で、ミッション達成を目的に、行政や企業との連携による活動の展開をするNPOや、自立した組織運営のための自己財源確保の一環として、ソーシャルビジネスなどの手法も模索するNPOが増加している。このことは、今後さらに地域に定着した活動を継続するための大きな可能性を秘めているものの、余もすると組織の存続重視やミッションよりも経営重視といった本来のNPOらしさの姿でない方向に舵を切ってしまいかねない場面も見え隠れしている。

震災から2年。発災直後に「何とかしなければ」という個々の思いを一つにして、損得なく、救援・復旧・復興に取り組んできた多くの団体のこれからのあるべき姿を、今一度考える大切な時期が来ているように感じている。それぞれのNPOがこれからの社会像を描きながら、自らの思いや組織のミッションを大切にし、その思いが達成できる組織の姿について考える機会が必要だと思う。現場で当事者と向かい合い、寄り添いながら活動を進める団体としても、NPOを支援することを目的に活動する組織としても、安心して暮らせる社会のありようと、そのために果たすべき役割と、その役割を継続することについて、その順番を変えずに考えていく必要があるだろう。我が組織も含めて。