<執筆>飯島 亜子 <セミナー>認定NPO法人国際子ども権利センター オンライン講座「子育て中の激しい感情との折り合い方」

人間なら誰もが持っている喜怒哀楽の感情。その中でも「怒り」は時に周囲の人や自分自身までも追い込んでしまうことがある。日常生活のちょっとしたきっかけで「怒り」が暴力やいじめ、DV、虐待へつながってしまうこともある。

コロナ禍で従来の生活様式や働き方が変化し、色々な問題が顕在化しているなか、それは子育て中の親にとっても例外ではない。毎日、心穏やかに子どもと向き合うためにはどうしたらいいのか。認定NPO法人国際子ども権利センター(シーライツ)が9日開いたオンライン講座で「子育て中の激しい感情との折り合い方」について詳しく解説した。

3つの「と」から分かる感情の正体

怒りを抑える方法でよく使われるのは深呼吸だ。それはなぜなのか。米国ニューメキシコ州公認臨床心理カウンセラーの園田京子さんは「深呼吸をすることで交感神経(緊張状態)から副交感神経(安息状態)へと切り替えられるからです。交感神経が高まっている時、身体では胃や腸などの消化器機能がストップします。これは脳による自己防衛本能が働くからです」と説明した。

3つの「と」は人間が危機に直面した時、身を守るために行う「闘争」、「逃避」、「凍結」のことをいう。「子育てでいえば、子どもが言うことを聞かない、価値観を否定された、尊厳を傷つけられたといった時、人は生存の危機・いのちがあぶないと勝手に脳が判断すると体も反応してしまうのです。つまり、感情は脳が自然と発するメッセージなので喜怒哀楽に良し悪しはない」と話す。

副交感神経を優位な状態にして激しい感情と折り合いをつける

子どもは感情むき出しでぶつかってくる。例えば、おもちゃを取られた時、怒りのコントロールができず、すぐ相手を傷つけてしまうことが多い。おとなの場合はストレスの蓄積の程度によって対応が変化する。その程度によって破壊的に対応しがちになることもあれば、建設的(相手にも自分にもやさしいかたちで)に対応できることもある。ストレスの蓄積度が高いと反射的・感情的な言動を取りやすいが、ストレスの蓄積が低ければ、冷静かつ客観的で平静に接することがしやすくなる。

「おとながストレスの蓄積に左右されないためには副交感神経(安息状態)を優位にすることで激しい感情と折り合えます」と話す。

「おとなのタイムアウト」と呼ばれ、怒りで子どもを傷つけてしまいそうになったら、一旦その場を離れることを奨めている。同時に子どもへ「今、お母さんはイライラしていて大変だから、ちょっと一人になりたいから離れるね」と伝えることが大事だと語った。

「怒りの核心」と向き合う

子育て中の親は、強いストレスを感じてしまいイライラを抑えきれなくなった経験がある人は多いだろう。強いストレスは、脳の中にある感情の抑制や判断・行動をつかさどる「前頭前野」の働きも悪くする。そのため、冷静な判断が難しくなったり、感情を抑えきれなくなるのだ。

このような状態におちいった時に有効とされるのが「深呼吸の他に瞑想や座禅、7分~15分程度の仮眠、緑豊かな環境へ行き自然と触れ合うこと」だという。

また「自分はなぜ、今こんなにイライラしたり怒っているのかを知ることも重要」だという。

深い悲しみに打ちひしがれている時、理由なき不安に押しつぶされそうな時、恐怖で怯えている時、孤独で寂しさが増している時。こうした核心の感情は怒りとして表現されることが多い。

まずは自分の現状を把握し日ごろから自分をいたわること、そして周囲の人へ助けを求める受援力を高めることが「人にも自分にもやさしい対処法」へ繋がると述べた。

認定NPO法人国際子ども権利センター
関西でユニセフのためにボランティア活動をしていた数人が、子どもの権利を日本社会に広め、子どもの権利の利点から国際協力をすることを目的として設立されたNPO法人。
次回の講座については現在も募集中。
主催:認定NPO法人国際子ども権利センター
イベント名:「子育て中の激しい感情との折り合い方」無料オンライン講座
日時:2021年1月14日(木)21時~22時、2021年2月13日(土)午前10時半~11時半
イベントのURL:http://www.c-rights.org/news/news2/20200703.html
申込みのURL:https://forms.gle/44jqZF8UtRLuziiK7
問い合わせ先:オンライン講座事務局 crights.event@gmail.com

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