この二、三年、市民参画型のNPOより、事業型NPOが増えています。
NPOは課題を抱える人や地域に対して解決に向けてのサービスや制度事業を実施するのは当然ですが、一方で、課題である現状を変えていくためには市民の意識や制度の改革に取り組むことが無ければ、根本的な課題解決にはなりません。
しかし、今、事業型NPOは事業の開発や収益の拡大などが注目され、「見える化」する数字での成果は出してはいるものの、ではその課題を改善するための市民による社会変革への活動をしているのかといえば、その視点がない団体が結構多いのではないか、と日頃の団体支援を通じて感じています。
非営利を強調する一方、市民参加性を忘れているNPOの増加によって、組織の責任体制や資金運用の情報公開がなく、信頼性を高める結果とはなっていない現状があります。
私たちが支援してきたのは、そこではないのです。実際に現場で困っていることに取り組み、活動を継続していく団体があることで、それ以上課題が大きくならない、あるいは生活が維持できる人がいるという、大きくはないが見える寄り添いがどんなに地域にとって重要か、その担い手は無くしてはいけない!と市民一人一人に感じてもらい、ひいては参加してもらい、資金や人の支援につなげたいからです。
評価の時代が来た
NPOは、活動するための資金として会費や寄付、補助金、助成金、委託金など、多様な資金を活用しています。そしてそれぞれの資金元が出資を決定する際は、事業の計画書や資金計画を見て決定します。審査委員会を設置しているところもあれば、直接ヒアリングして決めるケースもありますが、いずれもその事業が必要なのか、ちゃんとできるのか、お金の清算は妥当なのかなどを考慮して決めることになります。ある意味、結果を想定して賭けるという感じです。
その結果、期待通りに進め、変化したのかを出資元に報告することになりますが、この変化をもっとわかりやすく明確に見せることが求められるようになってきました。そのこと自体、自分たちのお金ではない、他の資金を得て活動する場合は当然のことですが、この評価の在り方が一つではなく複数あり、活動内容に合わせて選択できるものであってほしいと考えます。より成果がわかりやすい数字で出せるものだけが評価されていくようでは、地道に社会の底辺を支えている活動や時間がかかる教育の分野が評価されにくく、その担い手のモチベーションを維持できないことにもつながり、活動者も減ってしまうことにもなりかねません。
NPOにとっては、活動の意義と目標、その検証と共にさらなる改善策を重ねて、課題を抱える人々への貢献を目指していく活動こそ、多くの市民の共感に繋がり、支え手にもなっていくことを忘れてはいけません。
(月刊杜の伝言板ゆるる2018年3月号「この20年で市民意識は醸成してきたのか」から一部転載)