2024年度の骨太の方針等が発表された。
ここ数年、孤独・孤立やスタートアップ支援の文脈でNPO等への支援について触れられてきたが、今年は一歩突っ込んだ表現になっていると感じる。具体的には中間支援組織を通じたNPO支援が強調されているのが特徴だ。
経済財政運営と改革の基本方針2024
「寄附の促進等に加え、NPOの行う事業を支援する中間支援組織を通じた支援を含め、社会課題解決に取り組む民間主体への支援を強化し、ソーシャルセクターの発展に取り組む。」
(6.幸せを実感できる包摂社会の実現)
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版
「社会的課題を解決するNPOの取組を後押しするため、NPOの行う事業を支援する中間支援組織を通じて、事業初期における自由度の高い資金供与、人材の確保・育成、事業のコーディネーターの養成・配属等の取組を支援する。」
(Ⅷ‐2.社会的課題を解決するNPO・公益法人等への支援)
これまでも各省庁の個別の施策で「中間支援組織」について言及されることはあり、「中間支援組織」という表現に施策の数だけの定義があることは、以前NPO CROSSに書いたので参照いただきたい。( https://npocross.net/1881/ )
とはいえ、政府の重点課題を取り扱う骨太の方針等に「中間支援組織を通じたNPO支援」への言及がなされたのは異例だ。もしかして空前の中間支援組織ブームが到来しようとしているのではないか。
背景には社会課題が複雑に絡み合い、その解決のために官民の連携と、分野・縦割りを超えた連携が必要だという認識が広がっている中で、NPOの運営支援と多様な主体をコーディネートする機能の必要性に注目が高まっていることがある。
一方で、私自身の身の回りでは、ここ最近、複数の主体から、「中間支援組織のこれからのあり方を考えたい」という趣旨の相談を受けている。その多くは市町村単位で活動をする地域に密着した市民活動支援施設(公設民営のNPO支援施設)の運営に関わるものだ。
日本NPOセンターのNPO支援センター実態調査では、市町村域で展開されている市民活動支援センターの設立のピークは2000年代前半。地方分権、行財政改革の波に乗り、協働施策と市民活動支援施策が急展開される中で立ち上がってきていることが多い。市民活動支援施策に関する検討委員会が各地で開催され、その中で支援拠点も形作られてきた。しかし、もはや20年前のモデルとなってしまった。
当初は施設の設置検討に関わった民間団体に事業委託をしている地域も少なからずあったが、徐々に指定管理者制度に切り替わってきた。そもそも指定管理者制度は施設管理に関する管理コスト削減とサービスの充実のために生まれたもので、予算削減とハード支援重視になることは避けられない運命だといえる。
いま、中間支援機能に注目が集まっているとはいえ、先述の通りその期待は運営支援とコーディネーションを中心としたソフト機能である。これらはいずれも高い専門性と幅広いネットワークが求められるもので、一朝一夕にできるものではない。
期待と現状のミスマッチがある中で、改めてその機能とあり方を考えるタイミングに来ている。