日韓関係が波乱の時期を迎えている。徴用工を巡る韓国の最高裁での判決は日本社会に大きな衝撃を与えた。その後、日本政府による韓国をホワイト国から除外する決定とそれに対する韓国側の猛反発が続き、日に日に日韓関係の緊張が高まっている。

しかし、一度冷静になって考える必要がある。日韓両国はアジアの中で数少ない経済成長を遂げた民主主義国であり、社会の類似点も数多い。その近似性と距離の近さからNPOの間でも数多くの交流が行われてきた。日本国際交流センターでも、日韓の移住者交流事業に2017年から取り組んできた。これは韓国のNPOとの共同事業で、東南アジアから日韓それぞれに移住した移民(フィリピン、ネパール、ミャンマー、ベトナム出身者)が日韓を相互に訪問。移住者の立場から日韓の社会に対して、外国人のより望ましい受入れのあり方の提言を行うという今までにない事業である。

さて、この事業を実施して改めて感じたのは、韓国側は「日本で起こることがやがて韓国でも起こる」として、日本での動きを従来から注視してきたことだ。ただ外国人についていえば、韓国は日本よりその受入れは遅かったもののその後、日本を追い越し、在韓外国人処遇基本法、多文化家族支援法など、在留外国人のための法整備と政策を進めてきた。その点で、現在では日本側が韓国から学ぶ点が極めて多い。一方、外国人に対するヘイトスピーチ法については韓国では制定されておらず、韓国側には日本の経験を学びたいという強い意欲がある。この例のように、日韓は相互に学びあえる格好の相手であり、そこから得るものは双方にとって極めて多い。そうしたことが日韓のNPO間の活発な交流にもつながってきたのだろう。

これまで何十年と行われてきたNPO間の交流を通じて、相互の理解が進み、お互いを尊重し合う信頼関係がすでに多くの組織の間で育まれている。こうした交流は地味ではあるが、二国間関係の土台ともなりえる点で重要なものだ。一般市民が反日、反韓一色に染まりがちな中で、相手国に信頼できる友を持ち、相手国との交流の重要性を自らの体験を通して理解し、語ることができる人々が存在する意義は大きい。政治や時代の波に左右されず客観的に相手との交流の意義を理解し、両国関係の発展を願う人々がいるからこそ、両国関係は復元力を発揮して、嵐が過ぎれば平常の関係に素早く戻ることができる。

フェイクニュースまがいの政治的なプロパガンダが横行し、人々がそうした情報により翻弄されやすくなったのが現代である。こうした時代の中で日韓の交流に携わっている人々は、自らの体験をもとに、機会あるごとに日韓の交流の重要性を冷静に社会に提示し、客観的な議論へと導く一助となることが期待されているのではないだろうか。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。