4月半ば、神戸で開かれた「今田忠さんを想い、思いをつなげる会」に参加しました。
今田さんは、日本における民間公益活動への助成活動の草分けの一人であり、企業のCSR・社会貢献についての造詣が大変に深く、阪神・淡路コミュニティ基金代表のほか多くのNPOの理事等として関わり、市民社会づくりに熱意を傾けた方でした。

私は、今田さんの最後のご著書となった「概説市民社会論」が第14回日本NPO学会賞/林雄二郎賞を受賞された際に選考委員として書評を担当しました。同書は今田さんの研究と実践の集大成で300頁を超える労作であり、市民セクターを理解するうえで必要な知見がぎっしりと詰め込まれた良書です。書評の最後に、「・・・ここ数年の記述が少ないとも思えるが、それは後に続く研究者に託された使命と捉えるべきであろう。」と記して結びとしましたが、このように書いたものの「後に続く研究者に託された使命」とは何か、自分に何ができるのかを考え続けてきました。

故人を想い、思いをつなげるために全国から集まった方々とお話しする中で、今田さんが伝え続けた市民社会へのメッセージは、「多様性」と「社会的包摂」、そして「民主主義」だということを改めて思い起こしました。日本に市民社会を根付かせることを目的としたNPO法が成立してから今年で20年を迎えます。NPO法人は5万団体を超え、すでに日本の社会制度の一部となるまでに成長しましたが、市民社会を根付かせことに関しては道半ばと言わざるを得ないのではないかと思います。

神戸から戻り、今田さんの思いを受け止めて未来に活かすために何ができるのかを考えていたら、「市民社会創造」というフレーズが頭をよぎりました。「市民社会を創造する」とはいかにも大きな命題ですが、先ずは皆様に呼び掛けて「市民社会を創造するための研究会」を定期的に開いてみたい、そこでの議論をもとに行く行くは「市民社会創造ラボ」といったものが形にできないかと思い描いています。これが今田さんから託された使命を果たすことになるのかは定かではありませんが、市民社会を根付かせるためのアプローチの一つではないかと考えます。