行政職員向けの協働セミナーを日本NPOセンターが初めて主催したのが2003年になります。第1回は「NPOと行政の関係を考える」と題し、「なぜ地域にNPOが必要なのか?」「協働を進めるにあたって何を考慮すべきか?」というテーマで議論が行われました。
開催趣旨には、「NPOの期待が高まるなか、行政がNPOと関わる機会が増え、かつ多様化してきた。しかしながら、相互の認識が不足している現状では、NPOが行政の下請けとなってしまう」と書かれ、当時の問題意識がうかがえます
それから17年、今年はオンラインによる「NPOと行政の対話を促進するための連続講座」を開催。9月25日の初回講座では、子どもの未来サポートオフィス代表・米田 佐知子さんを聞き手として、日本NPOセンター 特別研究員である椎野 修平さんから基礎的なレクチャーがありました。
私がとくに印象的にのこったフレーズは、「ルーチンワーク化した協働」でした。
椎野さんからは、NPOと行政の協働について約20年間を前半・後半に分けると、ひとつのトレンドがみえると。「前半の10年間は、行政によるNPO支援やNPOとの協働施策が活発に展開された時期だった。しかし、後半の10年間はルーチンワーク化してきた感が否めない」という提起がありました。
要因としては、制度面がある程度整ってきて一段落し、施策化したあとは、新味のある取り組みが打ち出せない状態が続いていることや、NPO側もNPO支援施設や補助金制度にある程度満足しているように思われると、分析しました。
これからは、つぎの10年の始まりのタイミングでもあります。つぎの一手を考えていくときに、「社会的価値の創出」というキーワードが挙げられました。課題を解決していくことに注目が集まりますが、そのプロセスにおいて、様々な主体や当事者が変化していくことこそにも価値があると。米田さんからは、まだまだ協働のあり方は、発展の途中であるという話がされました。コロナ禍で、先を見据えることが難しい今だからこそ、対話を重ねて、ともにつくりだすことの重要性を切に感じました。