バイオマス発電は本当に持続可能なのか。「バイオマス発電に使用される木質ペレット生産が環境社会に及ぼしている影響」を木質ペレット輸出世界一の米国の事例から学ぶオンラインセミナーを1日、国際環境NGO FoE Japanが開いた。木質ペレット生産の裏では、森林伐採による生物多様性の損失・気候変動への加担や木質ペレット施設がもたらす大気汚染や騒音などの公害・人種差別が起こっていると訴えた。日本でも、今後持続可能エネルギーへの転換を計りたい木質ペレット消費が急速に伸びる懸念がある。

■生物多様性の損失・気候変動への加担

米国の環境非営利団体「ドッグウッド・アライアンス」のリタ・フロストさんは「持続可能ではない木質ペレットが森林認証のもと、持続可能なエネルギーとして生産されている」という。木質ペレットによるバイオマス発電は、森林を再生させることを前提に持続可能な方法だと考えられていた。しかし、米南部では広域に渡って天然林が伐採されている。米国では森林を伐採したあとに植林することを義務づける法律はなく放置されている場所もある。

植林するとしても、人工林の産業化に伴い生育が早い松を植えることを米国では推奨しているが、一つの植物から成り立つ人工林で生物多様性が復活することはなく災害などに弱い森林になる。

木質ペレットは全ての工程においてCO2を排出することも問題だ。森林伐採ではCO2が発生する。木質ペレットの生産・加工・輸送・発電におけるCO2の総排出量は石炭火力発電よりもCO2を排出する。温室効果ガスを蓄える働きのある森林を伐採し、CO2を生みだして、グリーンなエネルギーを作っているのが今の木質バイオマス発電の現状だ。

「気候変動にブレーキをかけるには、木質ペレットにおけるバイオマス発電への投資は中止し、本当に持続可能なエネルギーへの使用転換が求められる」。

■大気汚染や騒音などの公害・人種差別

木質ペレット産業の「裏」にあるのは環境破壊による気候変動だけではない。公害ももたらしている。米南部の現地コミュニティーに所属するタンディ・テイラーさんによると「大気汚染による喘息や心臓発作などの問題・騒音による睡眠障害などが地元の木質ペレット施設によって引き起こされている」という。

「木質ペレット施設は生活水準の低い有色人種の人々が多く住む施設に集中して建てられている。雇用を生み出す一方でその周辺に住む人々の健康被害が増えることが人種差別とも繋がっている」と訴えた。

バイオマス発電は、生物多様性の損失や気候変動を促進させ、公害をももたらすことを米国の事例から学ぶことができる。

■米国産木質ペレットに頼る日本の問題

「本来廃棄物として処理される木材の生産で発生した端材やオガクズなどを資源にした木質バイオマスは正しく使えば持続可能なエネルギーになりうる」と、NPO法人バイオマス産業社会ネットワークの泊みゆき理事長は訴える。

しかし日本社会の膨大な電力を支えるためには膨大な木質チップが必要になり、国内で安定的に供給することは難しいため輸入に頼っている。今後さらに輸入は増えると予想されている。2018年、“米国”のバイオマス燃料の大手Envivaと関西電力、三菱商事が契約を結んだことが報じられた。この契約は2022年後半に開始されおよそ15年継続される見込みだ。

国内のグリーンエネルギーへの転換の動きの背景には、他国でこうした環境破壊が行われ地球規模で見れば気候危機への加担になっていることを知り、声を上げていくことが今後もっと求められるだろう。

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