令和 3 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業​「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」が日本総合研究所から発表された。小学生を対象とした初めての全国調査となった。

「家族の世話をしている」と回答した小学校6年生は6.5% 

ヤングケアラーとは、本来大人が担うような家事やケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを日常的に行っているような子ども・若年層である。高齢者の身体介護や心身の疾患・障害、依存症等をもつ家族のケア、障害をもつきょうだいの世話など、ヤングケアラーが担う内容は多岐にわたる。​

今回の調査では、小学校6年生を対象に、家族に対する世話の状況や普段の生活に関するアンケートが行われた。「家族の世話をしている」と回答した小学生は6.5%。

世話を必要としている家族は「きょうだい」が最も多く71.0%、次いで「母親」が19.8%。ケア対象が「父母」のうち、その状態が「わからない」は33.3%​となり、子どもが状況をよくわからないままケアしている可能性​が読み取れる。

「みんなから、衆知を集めるしかない」

4月28日「ヤングケアラーの実態に関する調査研究から見えるもの」というテーマで、日本NPOセンター会員サロンを開催した。ケアラー支援に長く携わっている村田惠子さん(特定非営利活動法人さいたまNPOセンター専務理事)をゲストスピーカーに迎えた。

サロンのやりとりでは、以下のような課題が提起された。

・高齢化率や平均寿命が長くなっていることや、核家族化が進んでいることで、誰もがケアラーになる可能性があること

・本人たちがケアラーであるという自己認識が進んでいない

・個人情報保護のハードルがあり、学校や支援機関との情報共有が十分に進んでいない

・ヤングケアラーだけでなく、ケアラー全体をみていく支援の必要性

村田さんは、「精神障害をかかえる母親をケアする小学生に対して、どのような支援が必要なのか?ということは、誰もまだ十分な回答をもっていないのではないか」と話された。学校やソーシャルワーカー、行政、NPO、市民、あらゆる衆知を集めるしかないという言葉が、とても印象に残った。

行政側が法制度として進めてほしいこと、市民が地域のなかで関わっていけること、それぞれが当事者の声をききながら、ウェルビーイングの在り方を考えていきたい。


 

 

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