4月8日、内閣官房孤独・孤立対策室は「人々のつながりに関する基礎調査」の結果を公表した。 

この調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は4.5%。「時々ある」「たまにある」を合わせると31.9%で、3人に1人がなんらかのタイミングで孤独感を感じていることになる。また、間接的な表現で孤独の状況を聞いた項目では、孤独感が「常にある」「時々ある」の合計が43.4%だった。 

また、孤立については、同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが全くない人は11.2%。社会参加(スポーツ、自治会、ボランティアなど)がまったくない人が53.2%、何らかの社会的サポートを受けている人は4.4%という結果が出ている。 

なお、社会的孤立については、2021年に「社会的孤立の実態・要因等に関する調査分析等研究事業報告書」(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社/厚生労働省事業)が公表されている。ここでは、社会的孤立を4類型にわけ、それぞれの出現率を推計しており、会話欠如型孤立者2.2%、受領的サポート欠如型(広義)孤立者は14.2%、受領的サポート欠如型(狭義)孤立者は1.7%、提供的サポート欠如型孤立者は3.2%、社会参加欠如型(広義)孤立者は34.0%、社会参加欠如型(狭義)孤立者は6.6%が該当するという。さらには社会的孤立のリスクとして経済困窮、健康状態への不安につながる傾向があることも指摘されている。 

政府が2021年12月28日に発表した「孤独・孤立対策の重点計画」では「当事者や家族等の状況は多岐にわたり、孤独・孤立の感じ方・捉え方も人によって多様」であり、孤独・孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るもので、当事者個人の問題ではなく、社会環境の変化により孤独・孤立を感じざるを得ない状況に至ったもの。そのため社会全体で対応しなければならない問題であるとしている。 

しかし、孤独・孤立は問題を捉えるのが難しい。 

先述の重点計画では「孤独」を「主観的概念、ひとりぼっちと感じる精神的な状態」とし、「孤立」を「客観的概念、社会とのつながりのない/少ない状態」と整理した。特に主観的な概念である孤独は、それを外から評価することは適切ではない。孤立していて、孤独だと感じる人もいるだろうし、孤立していなくても孤独だと感じる人もいる。逆に孤立していても孤独だと感じない人もいる。いつもと変わらぬ不自由のないくらしの中でも、あるときふと孤独だと感じることもあるだろう。 

もっと言えば、孤独感を感じているからといって、それがすなわち問題でもない。社会的孤立については、先の調査で他の問題につながるリスクが指摘されているが、それとて必ず起こるものでもない。 

また支援を求めていたとしても、孤独・孤立状態にあることを明確にすることに抵抗感がある人もいるだろう。 

量子力学の分野で「不確定性原理」という原理がある。粗くまとめると、物質の位置とその運動量を同時に特定することができない、というものである。孤独・孤立に関しても、問題を明確にしようとするほどに、個人情報への配慮が必要になり、個人に着目すると、ある1つの側面からの状態を切り取って問題だということは適切ではないように思う。不確定性原理が働くかのように問題のとらえどころがない。 

しかし、NPOはこの問題を乗り越えられるのではないか。直接的には孤独・孤立の解消を目的としない中で活動していたとしても、結果として人と人とのつながりを生み出し、孤独・孤立の解消・軽減に寄与しているのではないか。 

問題を特定せずに、そこに集う人を丸ごと包摂しながら、つながりをいかして重大な問題が結果的に回避されている、そういう社会を創っていくことこそ、NPOに期待されていることではないだろうか。