<取材・執筆>西山 慶 <取材先>特定非営利活動法人PVネット兵庫グローバルサービス 副理事長 林 洋幸さん 河原 一郎さん 理事 下井 脩さん

再生可能エネルギーの中でも、「小水力発電」に関心をもち、特定非営利活動法人PVネット兵庫グローバルサービス(以下、PVネット兵庫)を取材した。

PVネット兵庫の母体は、主に太陽光発電設備に関する啓発、設置促進、維持管理の助言などを目的とした特定非営利活動法人太陽光発電所ネットワークである。同ネットワークは、現在約2500人の会員が参加する、大規模な市民コミュニティだ。その兵庫在住会員が結成したのがPVネット兵庫で、現在に至るまでさまざまな環境関連の活動を行っている。今回は、2021年4月に運転開始された「六甲川水車新田小水力発電」について、副理事長の林洋幸さん、河原一郎さんにお話を伺った。

現地を案内してくださった理事の下井脩さん(左)と副理事長の河原一郎さん(右)

小水力発電を実現された経緯 

小水力発電を始めようと思われた背景には、北方龍一理事長がもともと六甲川の付近に土地を所有していたことと、このあたりの場所は水車新田と呼ばれていることからも分かるように、江戸時代には実際に水車が使われていたということがある。そこから理事長は、その土地を用いて小水力発電を行ってみようと思ったそうだ。さらに、小水力で電力を作りながら森を活性化し、さまざまな人に訪れて欲しいという願いもある。

兵庫県では、2016年度に「住民協働による小水力発電復活プロジェクト推進事業」が公募され、実施者を募っていた。そこで、PVネット兵庫は応募し、採択。立ち上げ期の支援に続き、2年後、調査設計段階の支援も受けて、本格的に計画を進めることとなった。

取水部の水圧管(ステンレス鋼管)
導水部の水圧管(ポリ塩化ビニル管)

発電できるようになるまでの苦労

小水力発電を実現するまでには、さまざまな課題をクリアしなければならなかった。まずは、河川法である。河川法により、国が管理する一級河川、都道府県が管理する二級河川がある。また、必要に応じて市が管理する普通河川がある。河川法などの法令で、自然災害への対策や川の適正利用などの細かいルールが定められている。六甲川は普通河川に分類され、神戸市が管理している。河川の利用にあたって、さまざまな申請業務があり、簡単には通過できず、その申請業務がとても複雑で特に苦労した作業であった。川の規制に加えて、次に山の斜面が急なため砂防法の規制もあり、工事許可などの必要があった。

また、固定価格買取制度で電気を買い取ってもらうためには、事業計画認定の申請などさまざまな作業が必要であり、非常に複雑である。承認をもらうだけでも大変だったそうだ。

ようやく設置を承認された後、実際に小水力発電の設備を設置するためには施工業者が必要である。しかし、設置場所の環境から、簡単には引き受けてくれる会社が見つからなかった。最終的には、総合施工をPVネット会員でもあるみつば電気という会社が引き受けてくれることとなった。

設置後には、設置場所付近には団地があり放流音などの騒音が問題になった。そのため、試行錯誤を繰り返して騒音を起こさないようにするための工夫を模索した。例えば、放流場所の調整や、水車・発電機を防音壁で囲うなどである。

水車・発電機

小水力発電のこれから

2021年4月から運転を開始したとのことで、まだ運用開始1年半ほど(取材時)の小水力発電である。今後、どれくらい安定して発電できるかなどの検証が行われていくものと思われる。また、運用する中で、さらに新たな課題も見つかるのかもしれない。当初期待していた森の活性化が、どれくらい進むのかも気になる。機会があれば、その後の取材でご報告してみたい。

感想

今回インタビューするまでは、再生可能エネルギーの良い点、悪い点しか考えて来なかったが、実際に設置をするまでの工程を聞いてみると、装置を設置するまででも非常に苦労があることに驚いた。現在世界的な問題となっているエネルギー不足は、今後私たちが生きていく上で完璧に解決されると考えるのは難しく、少しずつでも国単位で再生可能エネルギーの開発を進めていく必要があると思う。しかし、設置するまでの厳しい規制がこのまま残り続けると、今後も状況は発展しないだろう。今回の記事を通じて、再生可能エネルギーの現状を知り、私たちは今後この問題をどう解決するのかを考えていただければ幸いである。