夏休みが終わるこの時期、「子どもたちが自死を選ぶことを防ぎたい」との思いから、居場所づくりを行うNPO団体らが協力しキャンペーン 「#学校ムリでもここあるよ」 を行っている。「学校が無理だな。辛いな。苦しいな」と感じたときの逃げ場に、安心できる様々な居場所を紹介する。「ちょっと休憩する気持ちで足を運んでもらいたい」と主催者のFUTURE DESIGN代表の生駒知里さんが伝えた。
キャンペーンは今月19日から9月13日まで。主催するのは、NPO法人フリースクール全国ネットワーク、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会、FUTURE DESIGN(多様な学びプロジェクト)。 特設サイトでは、 キャンペーンに賛同するフリースクールや冒険遊び場プレーパーク、コミュニティカフェ、お寺、さらにチャイルドラインまで全国約170の「安心できる居場所」を紹介する。分野を超えた協力団体らは、「子どもたちが追いつめられて自死を選ぶことを防ぎたい」というただ一つの思いで一致しているという。
2019年自死対策白書によれば、2018年に自死した19歳以下は前年比32人増の599人。大人の自死は減っている一方で、10代の自死は2010年以降増え続けている。
これまでNPOは同じ問題でもバラバラに取り組んでいたが、今回一つの思いでまとまることができた。 フリースクール全国ネットワーク代表理事の江川和弥さんは「キャンペーンが終わる頃、子どもの自死を防ぐという結果が出てくることを期待している」と意気込みを話した。
キャンペーン初日の19日、都内でオープニングイベントがあった。一部で登壇したのは、自身も不登校経験のあるという「#不登校は不幸じゃない」発起人の小幡和輝さんと、不登校新聞編集長の石井志昂さん。
小幡さんは「不登校でよかった。不登校だったことで常識に縛られないことが大きい。発想を変えられる。けれど、不登校はイメージが悪い。社会の偏見を変えていく活動が必要だ」と指摘した。
二人に共通するのは「安心できる居場所」があったことだ。小幡さんは教育支援センター(適応指導教室)。自治体が設置する学校に行かない子どもたちが集まる場だ。全国に1142カ所ある。「自分の地域は人口が少ない町にも関わらず適応指導教室があったのがよかった。だが、全国的に居場所は足りていない。居場所を作っていかないといけない」。
石井さんはフリースクールに通っていた。全国に430カ所ほどあるフリースクールの特徴は、学校と違って運営が基本子ども中心であること。子ども自身がなんでも決めていい。子どもたちは通う頻度も自由で、毎日くる子もいれば、週2,3回という子どもいる。
「フリースクールがあって救われた。一人じゃないと思えることが安心感になった。一人じゃないという安心感が、その先の一歩に出会える」
居場所の良さは「なにをやってもいい」ということ。学校ではそうはいかない。「その子がやりたいことをやれる。なにもしないことを選ぶ子もいる。壊すことで表現する子もいる。それを含めて大人は見守っている」 と日本冒険遊び場づくり協会代表の関戸博樹さんは話した。