2011年に立ち上げた東日本大震災現地NPO応援基金のテーマを「組織基盤の強化」に設定してから、「組織基盤とは何か」を考える機会が増えました。「コロナ禍」にさらされている今年は、まさにそれぞれの組織基盤が問われています。

一口に「コロナ禍」といっても、新型コロナウイルスの影響は組織によって異なります。活動の対象の状況、有給スタッフや事務所など固定費の有無、オンライン化など代替手段が取れるのかどうかといったことで、必要な対策はわかれます。そのため1つの答えがなく、自団体で判断するしかない問題です。

そこで、事例をもとに共に考える場を作ろうと、日本NPOセンター会員を対象とした会員サロンを実施。「今こそ聞きたいコロナ禍のNPO運営」と題して、新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも、組織を維持し、活動を前に進めようと模索を続けておられる、特定非営利活動法人荒川クリーンエイド・フォーラムと認定特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会の2団体からお話を伺いました。

私は2団体の報告からしなやかな、例えるならうどんのコシのような組織基盤の強さを感じました。

荒川クリーンエイド・フォーラムは、多くのボランティアや企業とともに行っていた荒川の河川清掃活動がストップし、河川環境の悪化はもとより、経営にも大きな影響を受けています。持続化給付金や雇用調整助成金、IT補助金などの給付金や内部留保でしのぎながら、ステークホルダーと協働での新規事業開発に着手。自団体だけでなく連携団体とともに事業を作り出し、当面のめどを立てるところまできたといいます。こうした対応ができたのは、事業をともに創り出すステークホルダーとの関係を多様に持っていたことと、迅速かつ多方面への働きかけがあったからだと感じました。

日本クリニクラウン協会は、小児病棟にクラウン(道化師)を派遣する活動をしています。活動現場の特性から感染が拡大した2020年2月にほとんどの現場活動が停止。家族の面会も制限される中で、それでも子どもたちにクラウンとともに「子ども時間」を届けたいと、訪問のための予算を振り替えて動画コンテンツを制作。その後も病院の環境に合わせて工夫を重ねて活動を継続されています。

東日本大震災での支援活動を通じて得た「自分たちの価値やミッションを信じる」ことを裏付けとして、また現場で活動をするクラウンのモチベーションの維持に気を配り、「小さな一歩を踏み出す」「いまできることをやる」姿勢で活動を展開されています。

東日本大震災の復興支援でお付き合いをした団体にも、活動中の事故という危機に直面した団体がありました。事故が起こったことは不幸なことではありましたが、その団体は当事者とその家族への気配りを最優先にされながら、初期対応、理事会と協議した上での事後対応と迅速かつ丁寧に対応されました。大きな団体ではなく、資金面でも潤沢とは言えませんが、その一件を通してみた私は、見えていなかったその団体の組織基盤の強さを感じました。

「組織基盤とは何か」をキーワードにすれば「明確なミッション」、「自己財源」や「ガバナンス」といった月並みな表現になりがちです。しかしより本質は、いざというときに、しなやかに活動や組織のあり方を変容させ、そのための行動を始められるか、というところにあるのだと思います。

※会員サロンでの両団体の発表内容は、筆者の感想をもとに書いています。
正式な記録は後日当センターウェブサイトで掲載しますので、そちらをご覧ください。